これから倉庫業を開業することを検討している場合、実際に営業開始できるまでにどのような流れを辿っていくのでしょうか。ここでは、倉庫業の開業における事前準備から登録申請、営業開始までの手順について説明していきます。
倉庫業の登録申請から営業開始までの流れ
倉庫業を始めるためには、事前準備を経て登録申請を行い営業開始にいたります。
事前準備
倉庫業登録申請をできるだけスムーズに進めるには、十分な事前準備を行うことが重要になってきます。たとえば倉庫として使用する物件選びやそこから生じる各種の問題点解決など、登録要件を満たすためには必ず確認しなければなりません。特に以下の事柄にフォーカスしておくことが重要です。
【確認すべき点】
- 荷主から預かった物品の内容と保管方法
- 運輸局に対する事前相談
- 倉庫として使用する物件選び
- 建物(物件)の建築確認済証・完了検査証・竣工図面などの入手
- 申請予定物件の立地や施設設備基準の確認
- 申請予定物件の所在地を管轄する地域の当該部署への事前相談
登録申請
まずは、倉庫として使用したい物件を所有する物件所有者や不動産業者と契約を締結して、倉庫物件を確保します。
登録申請書の提出
倉庫業を営む主な営業所を管轄する当該地域の運輸局に申請書類を提出します。
審査の実施
審査には、申請書類の提出から2ヵ月前後の時間を要します。
審査の完了
審査が完了すると、登録通知書が交付されるのでこれを受領します。
登録免許税の納付
登録免許税として9万円を納付したら、「領収証書添付書」に納付書の原本を貼付して管轄の運輸局に提出します。
営業開始
以上の手続きを行うことにより、はれて倉庫としての営業を開始することができます。このとき、保管料や付随する他の料金などを設定しなくてはなりません。料金設定を行ったら、30日以内に管轄の運輸局に届け出ることになっています。
料金設定が済んだら、以下の表記を営業所内に掲示する必要があります。
- 利用者から受け取る倉庫料金
- 倉庫寄託約款
- 当該営業所や他の営業所ごとの倉庫の種類
- 冷蔵倉庫においては冷蔵室ごとの保管温度
同時に、倉庫の営業に不可欠な倉庫管理主任者の設置も忘れずに行いましょう。
倉庫の営業を始める前に解決したい疑問点
営業倉庫の建築あるいは賃貸契約が完了し、実際の営業開始に向かって進みたいところですが、慣れない手続きのなかで疑問に感じる事柄がさまざまに生じます。
倉庫の床面積に関する疑問
倉庫として営業を開始するためには各種法令によって厳しい基準をクリアする必要がありますが、床面積に関する規定は特に設けられていません。あくまでも倉庫としての施設要件を満たしていることが重要です。
倉庫の検査未完了に関する疑問
倉庫といっても建物ですから、建築業法に基づく完了検査は必須になります。したがって、検査未完了の場合は倉庫業の登録申請を行うことはできません。
図面をもたない倉庫の申請に関する疑問
倉庫業の登録申請では、国土交通省の担当者は図面をもって審査を行います。したがって、図面がない倉庫については倉庫業の登録申請を行うことができません。
建物の用途変更について
たとえば、もともと工場としての建物用途であった建物を倉庫として使用したい場合は、用途変更手続きが必要になります。その場合、建物の強度などさまざまな条件をクリアしていることが求められます。
倉庫管理主任者の選任に関する疑問
倉庫管理主任者の選任条件を満たす者がいない場合、当該社員に倉庫管理主任者講習を受講させることで、倉庫管理主任者として選任することができます。
まとめ
倉庫業登録申請の全体像や疑問について説明しましたが、最も重要な段階は第一歩目の事前相談にあるといえるでしょう。運輸局や自治体の建築指導課に対する事前相談を行うことによって、倉庫で取り扱う物品の適性や施設大きさ、さまざまある施設設備基準などを明確にすることができます。この手順を省いてしまうと、法律に則った倉庫の建築ができないことになりかねません。
同時に、実際の倉庫業登録申請における流れの確認や細かな必要書類の確認、準備などについては、許認可業務の専門家に相談し助言やサポートを求めることをおすすめします。当事務所でも、倉庫業登録申請業務のご相談やご依頼を承っていますので、手続きを少しでもスムーズに進めるためにも、ぜひ一度お問い合わせください。