一般貨物自動車運送事業許可の要件
一般貨物自動車運送事業許可の申請に対する審査は、貨物自動車運送事業法に基づいて行われますが、下記の各項目については、特に要件の充足に重点をおいて審査されます。 (北海道運輸局公示基準による)
◆一般貨物自動車運送事業(特別積合せ貨物運送をするものを除く。)
1.営業所
(1)使用権原を有するものであること。
(2)農地法、都市計画法、建築基準法等関係法令の規定に抵触しないこと。
(3)規模が適切なものであること。
2.最低車両台数
(1)営業所毎に配置する事業用自動車の数は種別(貨物自動車運送事業法施行規則第2条で定める種別)ごとに5両以上であること。
(2)計画する事業用自動車(以下「計画車両」という。)にけん引車、被けん引車を含む場合の最低車両台数の算定方法は、けん引車+被けん引車を1両と算定する。
(3)霊きゅう運送、一般廃棄物運送、一般的に需要の少ないと認められる島しょ (他の地域と橋梁による連絡が不可能なもの。)の地域における事業について は、(1)に拘束されないものであること。
3.事業用自動車
(1)計画車両の大きさ、構造等が輸送する貨物に対し適切なものであること。
(2)使用権原を有するものであること。
4.車庫
(1)原則として営業所に併設されていること。 なお、営業所に併設できない場合は、当該事業用自動車の所属する営業所からの距離が、「自動車の保管場所の確保等に関する法律施行令第1条第1号の規定に基づき運輸大臣が定める地域及び運輸大臣が定める距離に定められた距離(札幌市に営業所を設置する場合にあっては10キロメートル、札幌市以外の地域に営業所を設置する場合にあっては5キロメートル)以内であること。
(2)車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保され、かつ、計画車両のすべてを収容できるものであること。
(3)他の用途に使用される部分と明確に区画されていること。
(4)使用権原を有するものであること。
(5)農地法、都市計画法等関係法令の規定に抵触しないこと。
(6)前面道路については、原則として幅員証明書により、車両制限令に適合すること。
5.休憩・睡眠施設
(1)原則として、営業所又は車庫に併設されていること。
(2)乗務員が有効に利用することができる適切な施設であり、乗務員に睡眠を与える必要がある場合には、少なくとも同時睡眠者1人当たり2.5平方メートル以上の広さを有するものであること。
(3)使用権原を有するものであること。
(4)農地法、都市計画法、建築基準法等関係法令の規定に抵触しないこと。
(5)営業所に併設されず車庫に併設される場合で、複数の車庫を設置するものは、車庫相互間の距離が5キロメートル(札幌市に営業所を設置する場合にあっては10キロメートル)を超える場合は、それぞれの車庫に設置していること。
6.運行管理体制
(1)車両数及びその他の事業計画に応じた適切な員数の運転者を常に確保し得るものであること。この場合、運転者が貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第2項に違反する者でないこと。
(2)選任を義務づけられる員数の常勤の運行管理者及び整備管理者を確保する管理計画があること。ただし、一定の要件を満たすグループ企業(会社法第2条第3号及び第4号に定める子会社及び親会社の関係にある企業及び同一の親会社を持つ子会社をいう。)に整備管理者を外部委託する場合は、事業用自動車の運行の可否の決定等整備管理に関する業務が確実に実施される体制が確立されていること。
(3)勤務割及び乗務割が「貨物自動車運送事業の事業用自動車の勤務時間及び乗務時間に係る基準を定める件」に適合すること。
(4)運行管理の担当役員等運行管理に関する指揮命令系統が明確であること。
(5)車庫が営業所に併設できない場合には、車庫と営業所が常時密接な連絡をとれる体制を整備するとともに、点呼等が確実に実施される体制が確立されていること。
(6)事故防止その他輸送の安全についての教育及び指導体制を整え、かつ、事故の処理及び自動車事故報告規則に基づく報告の体制について整備されていること。
(7)石油類、化成品類又は高圧ガス類等の危険品の運送を行うものにあっては、消防法等関係法令に定める取扱資格者が確保されるものであること。
7.資金計画
(1)所要資金の見積りが適切なものであること。
(2)所要資金の調達に十分な裏付けがあること、自己資金が次に掲げるものの合算額の2分の1に相当する金額以上であること等資金計画が適切であること。
① 取得する事業用自動車の車両価格(分割の場合頭金及び6カ月分の割賦金。ただし、一括払いの場合は取得価格。)に相当する資金又はリース料の6ヶ月分
② 営業所、車庫等の土地、建物の取得価格(分割の場合頭金及び6カ月分の割賦金。ただし、一括払いの場合は取得価格)又は6か月分の賃借料(敷金、権利金、保証金等を含む)
③ ①、②以外の固定資産の取得に要する資金
④ 開業後1年間に支払うこととなる自動車損害賠償責任保険料の全額、適切な保険金額の一般自動車損害保険(任意保険又は交通共済等)の加入に係る掛金等の1ヶ年分、石油類、化成品類又は高圧ガス類等の危険品の運送を行うものは、上記のほか当該輸送に対応する適切な保険料の1ヶ年分
⑤ 開業後1年間に支払うこととなる自動車重量税の全額、自動車取得税の全額、自動車税の1ヶ年分、消費税、登録免許税その他会社の設立、開業等に必要な資金
⑥ 人件費(健康保険料、厚生年金保険料等)、燃料油脂費、修繕費等2ヶ月分の運転資金
(3)自己資金が、申請日以降許可日までの間、常時確保されていること
8.法令遵守
(1)申請者又はその法人の役員は、貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令知識を有し、かつ、その法令を遵守すること。
(2)健康保険法、厚生年金法、労働者災害補償保険法、雇用保険法(以下、社会保険等という。)に基づく社会保険等加入義務者が社会保険等に加入すること。
(3)申請者又は申請者が法人である場合にあっては、その法人の業務を執行する常勤の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)が、貨物自動車運送事業法又は道路運送法の違反により、申請日前3ヶ月間(悪質な違反については6ヶ月間)又は申請日以降に自動車その他輸送施設の使用停止以上の処分又は使用制限(禁止)の処分を受けた者(当該処分を受けた者が法人である場合における処分を受けた法人の処分を受ける原因となった事項が発生した当時、現にその法人の業務を執行する常勤の役員として在任した者を含む。)ではないこと。
(4)新規事業者に対しては、許可書交付時等に指導講習を実施するとともに、事業開始後6ヶ月以内に貨物自動車運送適正化事業実施機関の適正化事業指導員による巡回指導を実施するものとし、改善が見込まれない場合には監査等を実施するものとする。
9.損害賠償能力
(1)自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済に加入する計画のほか、一般自動車損害保険(任意保険又は交通共済等)の締結等十分な損害賠償能力を有するものであること。
(2)石油類、化成品類又は高圧ガス類等の危険品の運送に使用する事業用自動車については、(1)によるほか、当該輸送に対応する適切な保険へ加入する計画等、十分な損害賠償能力を有するものであること。
10.許可に付する条件
(1)上記2(3)に該当する事業については、5両未満であっても認めることとし、許可に際して当該事業に限定するなどの条件を付するものとする。
(2)許可に際しては、許可日から1年以内に事業開始することの条件を付するものとする。
(3) 運行管理者及び整備管理者の選任届を運輸開始前(整備管理者の選任届については、選任後15日以内に運輸開始する場合にあっては、選任後15日以内)提出する旨の条件を付すること。
(4)運輸開始までに社会保険等加入義務者が社会保険等に加入することの条件を付するものとする。
一般貨物自動車運送事業許可申請の流れ
◆STEP1
事前準備、要件確認、必要書類取得等
◆STEP2
申請書類作成、提出
◆STEP3
許可決定
申請してから許可が下りるまでの標準処理期間は3~4か月です。
◆STEP4
許可証交付
許可証の交付がされたら、許可日から30日以内に登録免許税を金融機関で納付します。
◆STEP5
許可後の手続き
運行管理者・整備管理者の選任届出、帳簿書類の確認、自動車登録、法令試験※、 社会保険の加入手続き、運輸開始届出等
※法令試験を受けて合格基準に達しなければ営業できません。
一般貨物自動車運送事業許可申請に必要な書類
◆一般貨物自動車運送事業経営許可申請書
<添付書類>
1.申請に至った経緯の詳細、現在の事業内容及び輸送計画を記載した書類
2.事業用自動車の運行管理等の体制を記載した書類
3.事業の開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法を記載した書類
4.営業所、車庫、及び乗務員の休憩・睡眠のための施設の概要及び付近の状況を記載した書類
イ.施設の案内図、見取図、平面(求積)図
ロ.自動車車庫と他の施設との区画方法
ハ.都市計画法等関係法令に抵触しないことの書面(宣誓書)
ニ.施設の使用権原を証する書面
自己所有・・・不動産登記簿謄本、不動産登記事項証明、建築確認書等
借入・・・・・賃貸借契約書、使用承諾書等
ホ.計画する事業用自動車の使用権原を証する書面
自己所有・・・自動車検査証(写)
リース・・・・自動車リース契約書(写)
車両購入・・・売買契約書または売渡承諾書
※ 現に登録されている自動車の場合は自動車検査証(写)、抹消登録済みの自動車の場合は抹消登録証明書(写)等、それ以外の自動車の場合は当該自動車の諸元表を添付する。
5.貨物自動車利用運送を行おうとする場合にあっては、次の書類
イ.利用する運送事業者との間で取り交わした運送に関する契約書の写し
ロ.貨物の保管体制を必要とする場合にあっては、保管施設の面積、構造及び付属設備を記載した書類
6.資金の調達に関する書類
7.既存の法人にあっては、次に掲げる書類
イ.定款又は寄付行為及び登記簿の謄本
ロ.最近の事業年度における貸借対照表
ハ.役員又は社員の名簿及び履歴書
8.法人を設立しようとするものにあっては、次に掲げる書類
イ.定款(会社法(平成17年法律第86号)第30条第1項及びその準用規定により認証を必要とする場合にあっては、認証のある定款)又は寄付行為の謄本
ロ.発起人、社員又は設立者の名簿及び履歴書
ハ、設立しようとする法人が株式会社である場合にあっては、株式の引受けの状況及び見込みを記載した書類
9.個人にあっては、次に掲げる書類
イ.資産目録
ロ.戸籍抄本
ハ.履歴書
10.法第5条(欠格事由)各号のいずれにも該当しない旨を証する書類