緑ナンバーとは
運送業許可(一般貨物自動車運送事業許可)、もしくは運送業に使用する営業用自動車のことを緑ナンバーと言います。「運送業許可が取りたい」ことを「緑ナンバーが取りたい」と言ったりします。
ですが緑ナンバー本来の意味としては、運送業に使用する営業用自動車に取り付けるナンバープレートのことを指します。自動車の分類によって取り付けるナンバープレートが決まっていて、その分類というのが自家用自動車と事業用自動車です。
自家用自動車は白地に緑文字の白ナンバー、事業用自動車は緑地に白い文字の緑ナンバーです。軽自動車の場合は黄色地に黒い文字の黄色ナンバー、事業用自動車は黒地に黄色文字の黒ナンバーとなっています。
※緑ナンバーの特徴
緑ナンバーを付けた車両は運送事業で使用することが認めれます。緑ナンバーの車両は白ナンバーの車両に比べて自動車税や自動車重量税が安く設定されており、その代わりに3か月ごとの点検が法律上義務付けられていたり、車検の間隔が短いなどの特徴があります。
緑ナンバー取得には法令試験に合格することが必要?
運送許可(一般貨物自動車運送事業許可)を取得するためには国土交通省が実施する「役員法令試験」に常勤の役員一人が合格する必要があります。
法令試験を受験する必要がない場合もあります
以下の場合は法令試験を受験する必要がありません。
・すでに特定貨物自動車運送事業許可を取得している事業者が、その廃止と同時に一般貨物自動車運送事業許可の申請を行う場合。
・合併分割認可申請で一般貨物自動車運送事業許可を持っている事業者が存続する場合。
よく運行管理者試験とこの役員法令試験を混同される方がいらっしゃいますが、別の試験ですのでご注意ください。出題範囲も合格基準も異なります。
法令試験実施の経緯について
役員法令試験は過去に実施されていたものが手続きを簡素にする目的で一度廃止になりました。
しかし、その後事業者の法令違反や運送しているトラックの事故などが相次ぎ、2013年から法令違反抑止や事故削減の観点から役員法令試験が許可要件に追加されました。
法令試験の受験者は?
受験者は運送業許可取得後に運送業に従事する常勤の役員です。ほかの部門を担当する役員であったり、登記されていない役員では受験できません。
個人の場合は事業主本人が受験することになります。
試験の日程は?
法令試験は奇数月に行われます。つまり、2か月に一度です。法令試験は許可申請の受付が済んだ翌月以降からの受験になります。よって奇数月に申請を受付した場合は翌々月後の受験です。
例)5月に申請受付→法令試験は7月
気になる試験の内容は?
法令試験の概要を表でまとめてみました。
設問形式 | ○✕形式、語群選択(ア~オから選択など) |
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試験時間 | 50分 |
合格基準 | 30問中24問(8割)正答以上 |
資料の持ち込み | 不可(当日試験会場で関係法令の条文集配布あり) |
合格率 | 約50~70% |
出題範囲 | 全13項目
・貨物自動車運送事業法 ・貨物自動車運送事業法施行規則 ・貨物自動車運送事業輸送安全規則 ・貨物自動車運送事業報告規則 ・自動車事故報告規則 ・道路運送法 ・道路運送車両法 ・道路交通法 ・労働基準法 ・自動車運転者の労働時間等の改善のための基準 ・労働安全衛生法 ・私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 ・下請代金支払遅延等防止法 |
法令試験の対策は?
試験当日に関係法令の条文集が配布されますが、総ページ数が300ページを超えるボリュームがあるため、30問を50分間で解くことを考えると一つ一つ調べている時間はありません。
そのため、一定の対策は必ず必要です。その対策としてお勧めなのが過去問を解くことです。3~5年分の過去問を解けば自然とある程度の知識がつきますし、試験問題の傾向もわかるかと思います。聞きなれない表現が多い条文集をやみくもに読み込むよりも効率的だと思います。
役員の方が仕事をしながら限られた時間の中で試験の勉強をするのは大変ですから、可能な限り効率よく試験対策していただきたいと思います。
もしも試験に合格できなかったら?
法令試験に合格できなければ運送業許可は取得できません。では、万が一試験に不合格だった場合どうなるのでしょうか。結論から申し上げますともう一度だけ受験可能です。
具体的には、一度の運送業許可申請につき2回まで受験のチャンスが与えられます。ですから、一度不合格だった場合でももう一度チャンスがあります。
しかし、2回とも不合格だった場合はその許可申請は取り下げとなります。再度受験するためには改めて許可申請を行う必要があります。
つまり、申請をし直す必要はありますが何度も受験可能ということです。そうはいっても、改めて許可申請をするとなると許可取得まで時間がかなりかかってしまいますから、やはり2回の受験で合格するに越したことはありません。
まとめ
ここまで、ご覧になった通り役員法令試験は13法令という広い出題範囲を正答率8割以上になるように勉強しなければならず、なかなか容易ではない試験だということがお分かりになったかと思います。
加えて受験するのは常勤の役員様ですから、試験の対策に使える時間も限られてきます。そのため、効率よく対策する必要があります。
ご自身だけでは試験対策が不安だという場合は、運送業許可の専門家などに試験に関して相談してみても良いかもしれません。