貨物軽自動車運送事業、いわゆる黒ナンバー取得について概要を解説します。まずは貨物軽自動車運送事業の定義についてです。

貨物軽自動車運送事業とは

簡単に言うと、依頼主から運賃をもらって貨物軽自動車および125cc以上のバイクで荷物を運ぶ事業のことです。他の一般貨物自動車運送事業や特定貨物運送事業に比べて少ない資本で始めることができ、届出自体も簡単であることが特徴です。略して軽貨物運送や黒ナンバーと呼ばれることが多いです。

 

貨物軽自動車運送事業に使用できる車両について

車検証の用途が貨物になっている軽自動車であれば軽貨物運送に使用可能です。

 

貨物軽自動車運送事業の保険について

軽貨物運送に使用する車両は荷物を積むため、一般の自家用車よりも事故が起こりやすくなります。そのため、自動車任意保険の保険料が自家用車に比べて2~3倍高くなっています。また、軽貨物運送の自動車任意保険を扱っている損保会社も限られています。

 

貨物軽自動車運送事業のメリット・デメリット

メリット

  • 一般貨物自動車運送事業と比較して事業開始までが非常に早い。
  • 登録免許税がないため費用が安く済む。
  • 申請の際に必要な車両が1台で良いため個人で始めるのに最適(一般貨物自動車運送事業の場合は最低5台必要)
  • 営業用ナンバーとなるため自動車税、自動車重量税など税金が安く済む。

デメリット

  • 個人で始める場合、自分の稼働日数が売り上げに直結するため負担が大きい。
  • 大手からの委託業務で始めるとロイヤリティの支払いが必要。
  • 自家用車に比べて自動車任意保険料が高額になる。

 

貨物軽自動車運送事業届出までのおおまかな流れ

  1. 申請日までに営業所と車両の確保する。
  2. 軽貨物運送業許可の申請書添付書類を運輸支局に提出する。
  3. 車両のナンバーを黒ナンバーに変更するための事業用自動車等連絡書を運輸支局から取得する。
  4. 事業に使用する車両を黒ナンバーに変更する。
  5. 自動車任意保険に加入する。
  6. 税務署や市町村に開業届を提出して事業開始。

貨物軽自動車運送事業の申請は提出書類に不備がなければ提出した当日に登録されます。そのため、車両のナンバー変更さえ済んでしまえばすぐに事業を開始することができます。

 

貨物軽自動車運送事業届出の要件とは

貨物軽自動車事業の届出をする場合、車両や営業所について各運輸支局長の公示基準を満たさなければなりません。

営業所と休眠施設の要件について

  • 車庫から半径2㎞以内であること。
  • 適切な使用権限があること。
  • 都市計画法、農地法、建築基準法その他の法令に抵触しないこと。

車庫の要件について

  • 原則、営業所に併設されていること。併設できない場合半径2㎞以内であること。
  • 適切な使用権限があること。
  • 使用する車両がすべて収容できるスペースがあること。
  • 都市計画法、農地法、建築基準法その他の法令に抵触しないこと。
  • 他の用途に使用される部分と明確に区分されていること。(ポールなどを立てる)
  • 屋根付きの車庫の場合市街化調整区域内でないこと。

車両の要件について

  • 各営業所に配置する車両が1台以上であること。
  • 車検証の用途欄が貨物になっていること。
  • 2輪車は排気量が125cc以上であること。

運送約款について

  • 荷主の正当な利益を害する恐れがないこと。(具体的には、運賃などの料金が明確に設定されていて、貨物軽自動車運送事業者の責任に関する事項が明確に定められていること。)
  • 旅客の運送を行うことを想定したものでないこと

※標準約款を使用する場合は届出書の記載にあたってその旨を記載することにより、約款の添付不要。

管理体制

事業の適切な運勢を確保するために運行管理等の管理体制を整えていること。

損害賠償能力

責任保険又は責任共済、任意保険の加入などにより十分な損害賠償能力を有すること。

 

まとめ

貨物軽自動車運送事業は一般貨物運送事業と比べて、車両の必要台数が1台であるため少ない資本で個人事業主でも始めやすい事業です。興味のある方は一度専門家にご相談ください。