廃棄物が出たとき、これを収集運搬会社に委託することなく自社で処分会社まで運搬するケースもよくみられます。自社運搬の場合、収集業としての許可を取る必要はありませんが、基準に基づいて業務を進めていく必要があります。ここでは、産業廃棄物を自社運搬するときに守らなければならないルールについて説明します

 

産業廃棄物を自社運搬する場合のルール

産業廃棄物を事業として取り扱う場合、産業廃棄物収集運搬業許可を都道府県知事から得る必要があります。廃棄物を運ぶ車両についても、あらかじめ届出を行ったものしか使うことができません。このように、第三者から金銭を受け取って産業廃棄物を運搬することを、委託運搬あるいは収集運搬委託とよんでいます

 

一方、自社の事業で出た産業廃棄物を自ら運搬する場合は、特に許可や車両届出は必要なく、これを自社運搬とよびます。有料で産業廃棄物の運搬を行うかどうかが、委託運搬と自社運搬の大きな違いです。

 

自社運搬では特別な許可や届出は必要ありませんが、以下のようなルールに則った業務遂行が求められます

 

表示義務

事業性の産業廃棄物を自社で運搬する場合は、運搬車両の側面(両側)に次の項目を表示する必要があります。これは、廃棄物処理法施行規則第七条二の二により指定されたもので、

  • 産業廃棄物収集運搬車である旨の表示
  • 会社名(排出事業者名)

上記について明記していなければなりません。

 産業廃棄物

 

「産業廃棄物収集運搬車」:1文字あたり5㎝角以上あること

表記板の面積に記載しきれないなどやむを得ない理由がない限り、「産業廃棄物収集運搬車」の文字を1つあたり5㎝角以上にしなければいけません。

 

「運搬する事業者名(会社名)」:1文字あたり3㎝角以上あること

「運搬する事業者名(会社名)」は、1文字あたり3㎝角以上であることが求められます。なお、一般的に浸透している「(株)」や「(有)」といった略称も認められます。

 

書面の携帯

廃棄物処理法第6条に基づき、産業廃棄物を運搬する場合は、以下5種類の産業廃棄物関連情報が記載された書面を常時携帯する必要があります

 

  1. 産業廃棄物排出事業者の氏名及び住所
  2. 運搬する産業廃棄物の種類及び数量
  3. 産業廃棄物の積載日
  4. 産業廃棄物を積載した事業場の名称、所在地及び連絡先
  5. 産業廃棄物の運搬先の名称、所在地及び連絡先

 

この5種類の情報を確認することができればいいので、紙マニフェストの常時携帯で対応することも可能ですし、携帯電話などを使った電子情報で代用することも可能です。

 

運搬中の飛散・流出・悪臭・騒音・振動の防止

産業廃棄物を運搬するにあたり、「飛散・流出・悪臭・騒音・振動」には細心の注意を払うことが求められます。この点については、以下に抜粋した通り、平成4年に交付された政令が根拠となっています。

 

【廃棄物の処理に伴う悪臭、騒音及び振動対策の強化について】

『平成4年に、環境庁大気保全局特殊公害課長から各都道府県・各政令指定都市環境主管部局長宛てに、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令の公布と施行が通達された。今般の改正廃掃法政令では、新たに廃棄物の処理に伴う悪臭、騒音又は振動によって生活環境の観点から支障が生じないように必要な措置を講ずることなどの規定が追加されており、廃棄物の適正処理という側面からも悪臭、騒音及び振動対策の強化を求めている。』

※環境庁ホームページ「法令・告示・通達」より一部抜粋

 

まとめ

産業廃棄物を事業として営み、自社運搬を検討している場合は、産業廃棄物収集運搬許可業務の経験豊富な当事務所にご相談ください。札幌市内ではトップクラスの依頼件数を誇っていますので、経験値と信頼性の両面から安心してお任せいただけることと思います。ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。