倉庫業を始めたい場合、国土交通省に対して申請し登録を受ける必要があります。ただし、登録を受けるにあたり事業者が要件を満たしていなければならず、その細かな規定に困惑するケースも少なくありません。ここでは、倉庫業の登録に求められる要件について説明していきます。
目次
倉庫業が登録制である理由
個人または企業の種別を問わず、実に多くの人が配送の必要性を感じています。インターネットで気軽に物品を購入したり、自力で運べないボリュームの仕入れを行ったりしますから、配送側としては膨大な物品を一時的に倉庫に保管し、そこから効率的な配送に繋げなければなりません。
つまり、倉庫業を営むということは、預かる物品の所有者である個人や企業が存在するということでもあり、倉庫業者としては物品の管理に細心の注意を払う必要があるのです。
もし、国による倉庫業者登録基準が何もなければ、耐火性の低い倉庫で燃えやすい物品の管理を行う事業者も出てくるでしょうし、耐震性がなければ地震への備えも不十分ということになります。最終的に被害を受けることになるのは物品の所有者ですから、万が一の事態を避けるためにも国は厳しい要件を設けて倉庫業者の登録申請を受けているのです。
倉庫業者の登録申請に求められる要件
倉庫業者として国に登録されるためには、申請段階で3つの要件を満たしていなければなりません。
【要件１】申請者が欠格事由に該当しないこと
申請者が下記のいずれか一つでも該当すると欠格事由、つまり、倉庫業を営むことができない理由に当てはまることになります。欠格事由に該当しないことが大前提です。
一 申請者が一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者であるとき。
二 申請者が、第二十五条の九第一項の規定により当該申請者に係る認定がその効力を失い、その効力を失つた日から二年を経過しない者又は同条第二項の規定による認定の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者であるとき。
三 申請者が法人である場合において、その役員が前二号のいずれかに該当する者であるとき。
※倉庫業法より抜粋
【要件２】倉庫および付帯設備が基準を満たしていること
営業倉庫といっても取り扱う物品により8種類に分けることができます。たとえば最も多いといわれる1類倉庫の場合、以下の基準を満たしていることが求められます。
- 使用権原
- 関係法令適合性
- 土地定着性等
- 外壁・床の強度
- 防水性能
- 防湿性能
- 遮熱性能
- 耐火性能
- 災害防止措置
- 防火区画
- 消火設備
- 防犯措置
- 防鼠措置
特に重要なのは「使用権原」です。使用権原とは建物を倉庫として使うことができる権利を指しており、申請者が建物の所有者なのか賃借権を有しているのかを明確にします。
【要件３】倉庫管理主任者を選任していること
倉庫業登録の申請を行うためには、倉庫一棟に対し倉庫管理主任者をひとり選任する必要があります。倉庫管理主任者の選任要件は以下の通りであり、いずれかひとつに該当しなければいけません。
倉庫管理主任者の選任要件
① 倉庫の管理の業務に関して2年以上の指導監督的実務経験を有する者
② 倉庫の管理の業務に関して3年以上の実務経験を有する者
③ 国土交通大臣の定める倉庫の管理に関する講習を修了した者
④ 国土交通大臣が①から③までに掲げる者と同等以上の知識及び能力を有すると認める者
※北海道運輸局ホームページ「倉庫管理主任者について」より抜粋
倉庫業法第6条に基づく「登録申請の拒否要件」として挙げられている以下3つのなかにも、倉庫管理主任者に関する事項が含まれています。登録申請においては倉庫管理主任者の選任が必ず求められるのです。
- 申請者等が、登録取消を受けて２年経過していないなど欠格事由に該当する
- 施設設備基準に適合しない
- 倉庫管理主任者を確実に選任すると認められない
まとめ
倉庫業登録申請を行ううえで、要件を満たすことは絶対条件となります。しかし、倉庫業法の記載事項でもある登録要件を理解することは容易ではなく、専門家のサポートを要するかもしれません。特に、申請時には種々の書類を用意しなければなりませんので、不備なく申請を行うためにも、積極的に行政書士への相談を検討するといいでしょう。
当事務所でも倉庫業登録申請を取り扱っており、特にご相談者様のご事情をしっかりとうかがうヒアリングを大切にしています。現在どのような状況にありどのような点にお困りなのかお聞かせいただければ助言を行うこともできるでしょう。どうぞお気軽に当事務所までお問い合わせください。
