倉庫業におけるトランクルームとしての形態はあくまでも「営業倉庫」であり、一般的によく見かけるレンタルトランクルームなどとは種類を別にしています。営業倉庫としてのトランクルームは国からの認定を受けて営業しますが、一般的なレンタルトランクルームにはそのような縛りがありません。ここでは、両者の違いや認定トランクルームの特徴について説明していきます。
目次
営業倉庫とレンタルトランクルームの違い
倉庫業では金銭を得て第三者の物品を保管します。トランクルームも利用者から金銭を得ますが、物品の保管に対する利用料金ではなく、あくまでもトランクルームというスペースの使用料である点が倉庫業と大きく異なるところです。
営業倉庫とトランクルームの違いを具体的に挙げてみましょう。
倉庫業
【契約】寄託契約
【料金】物品保管料金
【許認可】倉庫業法に基づき国土交通省への登録が必須
【入庫・出庫】倉庫業者が要立ち合い
【保証の義務】あり
トランクルーム(非倉庫業)
【契約】賃貸契約
【料金】賃貸スペースに応じた料金
【許認可】不要
【入庫・出庫】自由
【保証の義務】なし
倉庫業者がトランクルームを名乗って営業する場合、非倉庫業者と違って預かった物品を健全な状態で利用者に引き渡す義務が生じます。つまり預かった物品に対する責任があるため、利用者としては高価な財産や大切な物品を預けるのに向いているのです。
一方、非倉庫業者によるトランクルームは、スペース貸しの賃貸契約が主となりますから、借りたスペースに何を保管しいつ引き取るかは、トランクルーム側の規定内である限り基本的に自由です。ただし、物品に関する保証はないため、保管中の品質変化などに対するリスクも存在します。
認定トランクルームとは
倉庫業者が営業するトランクルームは倉庫業法に基づいた質を維持し、適切な物品管理を行って利用者に対する義務を果たします。トランクルームといっても国土交通省に登録を行った、いわばお墨付きの事業ですから、相応の責任を負うことになるのです。
一類倉庫の基準を満たす「認定トランクルーム」
倉庫業のトランクルームが一類倉庫としての基準を満たせば、優良なトランクルームであるとして、国土交通大臣から「認定トランクルーム」である証の認定マークを得ることができます。認定マークを持っていれば、利用者が物品の保管を寄託するうえで大きな安心感に繋がるでしょう。
認定トランクルームの審査内容
トランクルームの認定は、仮にひとつのトランクルームが区画区分されていたとしても「一棟」単位で審査されます。ただし、区画の一部が認定基準を満たしていなかった場合でも、他の区画において認定を受けることは可能です。優良トランクルームであると認定を受けるためには、以下の基準を満たしている必要があります。
【定温性能が必要】
- 物品の品質が温度の影響を受ける場合(酒類など)
- 物品の品質が湿度の影響を受ける場合(漆器など)
【防塵性能が必要】
- 物品の品質が粉塵の影響を受ける場合(精密機械や楽器など)
【防虫性能が必要】
- 物品の品質が害虫の影響を受ける場合(毛皮など)
【防磁性能が必要】
- 物品の品質が磁気の影響を受ける場合(磁気ディスクなど)
【常温性能・常湿性能が必要】
- 物品の品質が温度や湿度の影響を受けない場合(※寄託者による同意が必要)
まとめ
北海道運輸局ホームページの「倉庫業に関する申請(届出、報告)様式」でも、北海道における認定トランクルームの届出関連情報を公開しています。
1.認定を受ける場合:要事前申請
2.認定内容を変更する場合:要事前届出
3.認定の全部又は一部を廃止する場合:廃止日当日から30日以内の届出が必要
※北海道運輸局ホームページ「倉庫業に関する申請(届出、報告)様式」参考
認定、変更および廃止にかかわる申請書や届出書のテンプレートも用意されていますので、あとは自社のトランクルームの状態を確認し適切な申請・届出を行うだけです。このとき、自分だけではトランクルームの状態を判断しかねる、どのように書類を準備すればいいかわからないといった悩みが出てくることもあるでしょう。そのような場合はぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。