▲ 代表・千田による車庫調査に関する動画を配信中

 

運送業許可取得のためには車庫に関する細かな条件をクリアする必要があります。下記は国土交通省の公示、「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について」より車庫の条件についての記載を引用したものになります。

(1) 原則として営業所に併設するものであること。ただし、併設できない場合は平成3年6月25日運輸省告示第340号に適合するものであること。

(2) 車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保され、かつ、計画する事業用自動車のすべてを収容できるものであること。

(3) 他の用途に使用される部分と明確に区画されていること。

(4) 使用権原を有することの裏付けがあること。

(5) 農地法 (昭和27年法律第229号) 、都市計画法 (昭和43年法律第100号)等関係法令に抵触しないものであること。

(6) 事業用自動車が車庫への出入りに支障のないものであり、前面道路との関係において車両制限令(昭和36年政令第265号)に抵触しないものであること。なお、前面道路が私道の場合にあっては、当該私道の通行に係る使用権原を有する者の承認があり、かつ、事業用自動車が当該私道に接続する公道との関係において車両制限令に抵触しないものであること。

 

それぞれの項目についてさらに詳しく解説していきます。

(1)に関して車庫と営業所が併設できない場合

理想は車庫と営業所が併設されている事ですが、実際なかなかそうはいかない場合も多いと思います。もし、車庫と営業所が併設できない場合でも直線距離で車庫と営業所の距離が10㎞以内(地域によっては異なります)であれば大丈夫です。事前にネットの地図上で確認することをお勧めします。

 

(2)に関して計画する事業用自動車のすべてを収容できるとは

運送事業に使用する自動車がすべてが余裕をもって駐車できるだけの面積があるかどうか審査されます。具体的には車両と車庫の間に50㎝以上、車両同士の間に50センチ以上の隙間を確保した状態で車両すべてを駐車できる面積です。車両の積載量ごとに必要な面積の目安が決まっています。表にまとめてみました。

車両別1台あたりに必要な面積の目安
7.5トンを超えるもの 38㎡以上
2トンロングを超えるもの~7.5トンまで 28㎡以上
2トンロング 20㎡以上
2トンまで 15㎡以上

運送業許可では最低でも車両が5台必要ですから、車庫の面積として最低でも75㎡以上必要だということですね。(5台すべてが2トン未満だと仮定する)

※運送業に関する車両をすべて駐車したとき車庫の面積の9割を超えると要件を満たせない場合があります。

 

(3)に関して他の事業者と車庫が近い場合など

大きい土地を複数の事業者で車庫として使用する場合に、事業者ごとの車庫の境界線がはっきりわかるようにすることが求められることがあります。自分らが使う車庫の部囲に杭をうってビニールテープで囲うなどして境界性を明確にする必要があります。

 

(4)に関してどのように使用権原を裏付けするか

使用権原の証明はその土地が自己所有か賃貸かで異なります。

自己所有 土地登記簿謄本上の土地所有者が申請者名義であること
賃貸 賃貸借契約書の契約期間が2年以上であること。2年未満の場合は自動更新の記載があること

 

(5)に関して農地法・都市計画法に抵触するとは

土地登記簿上の地目が「田」や「畑」という記載になっている場合は農地に当たるため、そのままではその土地は車庫として登録できません。

農地転用の申請をして地目を変更する必要があります。ただ、申請したからと言って必ずしも農地転用の許可が下りるとも限らず徒労に終わる可能性もあります。その場合は別の土地を探さなければならなくなります。

また、都市計画法に定義される市街化調整区域というものに指定されている土地は原則として車庫として登録できません。

市街化調整区域というのは、おおまかに説明すると原則新たに建物を建てることができない土地のことです。ただし、屋根付きの車庫は建物に当たるため市街化調整区域では車庫として登録できませんが、屋根なしの車庫いわゆる青空駐車であれば市街化調整区域でも車庫として登録できる可能性があります。

 

(6)に関して車両制限令に抵触しないとは

車庫登録するにはその駐車場の出入り口に安全に車両が通れるだけのスペースがあるかどうかを証明する必要があります。具体的には幅員証明書などで証明することになります。

ただ、北海道の場合は運輸局に問い合わせたところ、幅員証明書は不要で図面などに道路の幅の寸法を記入すれば良いとのことでした。これに関しては各運輸局で確認をとったほうが良いでしょう。

なお、駐車場の前面の道路が国道の場合は幅員を証明する必要はありません。

 

まとめ

このように運送業許可の車庫の要件は非常に細かく複雑です。特に農地法・都市計画法に抵触していないかどうかの確認は見落としがちです。

車庫として尊くする予定で賃貸借契約を締結した土地が実は車庫の要件を満たしていなかったというようなことは避けなければなりません。

この土地は車庫として登録できるのだろうかと不安な方は一度、運送業許可の専門家に相談してみると良いでしょう。