事業として倉庫業を営むためには、営業倉庫を持つ必要があります。営業倉庫の設置には関連法の理解が必要になり、また最も多いといわれる倉庫類型を知ることも大切です。ここでは、営業倉庫の関連法と最も多い営業倉庫の分類について説明していきます。
営業倉庫の定義と関連法
倉庫には、個人利用を目的とする自家用倉庫と事業性を伴う営業倉庫の二種類があります。特に、営業倉庫は第三者から物品を預かり保管する目的があるため、倉庫業法に定められたルールを厳守しなければなりません。
倉庫業法に定められた営業倉庫のルール
- 建築確認を完了した倉庫である
- 倉庫施設や倉庫内設備が法に定める基準に則っている
- 倉庫内管理責任者が設置されている
- 倉庫寄託約款がある
上記の条件を満たした倉庫だけが登録可能であり、登録された倉庫のみが営業倉庫としての事業活動を行うことができるのです。これらルールは倉庫業にかかわる法律に基づくものであることから、次に関連法について説明していきます。
倉庫業の関連法について
倉庫業法で営業倉庫と認められている倉庫は、建築基準法における建物としての要件も満たしている必要があります。同時に、都市計画法における定めを確認したうえで、適切な場所に倉庫を建てなければなりません。
倉庫業法
倉庫業法の目的は物品の所有者である荷主の利益を守ることにありますので、倉庫には一定の基準をクリアすることが求められます。基準をクリアした倉庫は、各種分類における営業倉庫として登録することができます。ここでは、倉庫業法に基づく代表的な倉庫の種類についてみていきましょう。
1類倉庫(主として建屋型営業倉庫を指す)
【保管できる物品】日用品、紙やパルプ、電気機械などを含む第1類~第5類物品
2類倉庫
【保管できる物品】でん粉や塩、肥料、セメントなどを含む第2類~第5類物品
3類倉庫
【保管できる物品】気温や湿度の影響を受けにくいガラス類や陶磁器、鉄材などを含む第3類~第5類物品
建築基準法
倉庫は建築物の一種ですから、建築基準法に則った建物でなければなりません。したがって、倉庫業法における登録基準を満たし、かつ建築基準法に基づく建築確認申請を行う必要が出てきます。
都市計画法
都市計画法は、秩序を維持した住みよい都市整備のために設けられた法律です。無秩序な状態を生まないように、建物を建てるときは事前に開発許可を受ける必要があるのです。倉庫建築に関しても同様に規制を守る必要がありますので、適切な場所に倉庫を建てるための開発許可を得ることになります。
汎用性の高い1類倉庫
建屋型普通倉庫に占める1類倉庫の割合は非常に高い状態にあります。多くの倉庫業者が1類倉庫としての営業を選択しているということでしょう。
1類倉庫は、防湿性・耐火性・防火性など高い保護性能や防犯設備、害虫被害防止設備などの設置が求められます。当然ながら倉庫としての性能は非常に高くなるため、損傷を受けやすい日用品、紙やパルプ、電気機械などを含む第1類~第5類物品の保管にも適しているのです。
なお、指定数量未満であれば消防法における許可を要しないとされていた危険物や、高圧ガス保安法適用外とされていた物品について、以前は危険品倉庫で保管することが義務付けられていましたが、平成30年の法改正を機に、これら物品を1類倉庫で保管できるようになったことは大きな変化です。
まとめ
倉庫業登録申請を行うためには、倉庫業法だけではなく他の関連法に関する知識や理解が不可欠です。また営業倉庫として事業活動を行う場合は、運送業との兼ね合いも考慮する必要が出てくるでしょう。これから倉庫業の立ち上げを目指すなか、複数の重要要素を同時進行でクリアしていかなければなりませんので、自力では困難な状況になることも考えられます。
そのようなときは、ぜひ当事務所までご一報ください。札幌市内トップクラスの依頼件数に裏付けされた知識と経験により、適切な助言を行い必要なサポートを提供させていただきます。まずは現状を整理し登録申請に向かうことが大切ですので、お気軽にご相談ください。