倉庫業を始めるにあたり、何らかの許可を得る必要があるのではないかと考える人もいるでしょう。倉庫業に必要なのは許可ではなく、倉庫業法に基づく登録申請になります。ここでは、営業倉庫の登録に求められる基準と倉庫業に該当しない例について説明していきます

 

倉庫業の登録に求められる基準

倉庫業法では倉庫業について「第三者から預かった物品を倉庫で保管する営業形態」であるとしています。第三者から物品を預かるため法ではさまざまな基準を設け、倉庫の質をできるだけ均一に保つことを目指しています。したがって、倉庫業法が指定する基準を満たした倉庫に限り、営業を許可する「登録」が実現するのです

 

それでは、倉庫業を行うにあたり具体的にどのような基準をクリアする必要があるのでしょうか。以下、確認していきましょう。

 

建築確認申請

面積が10㎡以上の建物を建てる際、建築基準法に基づき該当する行政庁もしくは民間検査機関に対し、基準を満たしているか確認してもらう必要があります。これを建築確認申請といい、倉庫業においても同様の申請を行う必要があります

 

消防設備の設置状況

一定以上の面積を有する倉庫を建てる場合、消防法に基づき必要な消火設備を設置しなければなりません。具体的には、以下の面積に応じて消火器などを置くことになります。

 

  • 倉庫の面積が500㎡未満:消火器の設置が必要
  • 倉庫の面積が500㎡以上:消火器と火災報知器の設置が必要
  • 倉庫の面積が700㎡以上:消火器と火災報知器、屋内消火栓の設置が必要

 

その他外壁や床などの性能

建築基準法や消防法などを根拠として、倉庫施設や設備には一般的建築物よりも厳しい基準をクリアしなければなりません。外壁や床の強度、防火および耐火性能の高さはもちろんのこと、水漏れや虫害なども防ぐことができる質の高さが求められます。

 

倉庫業に該当しない業態とは

倉庫業は、第三者から預かった物品を保管する営業形態をもちます。しかし、保管行為のなかには「倉庫業」に該当しない業態があり、その場合、倉庫業としての登録申請は必要ないことになります。ここでは、倉庫業に該当しない業態について確認していきましょう。

 

運送契約に基づく物品の仮置きや荷さばき場

港湾運送業や貨物自動車運送業による一時的な保管施設である場合(配送センターなど)

 

手荷物類など携帯可能な程度の物品の保管場

一時的に物品を預かるコインロッカーや駅の手荷物預かり所などである場合

 

第三者が使用する自転車や自動車、またこれに準ずる物品の保管場

駐輪場や駐車場など一時的に車両などを保管する場合

 

金融機関における有価証券や貴金属その他の物品の保護預かり場

貸金庫などを用いて物品を保管する場合

 

以下の営業に付随して行う特定の物品の保管

  • 特定の物品を製造または加工した後に他人に譲渡する営業
  • 特定の物品を第三者から預かり、その物品について洗濯や修理などを提供する営業

クリーニング業や自動車関連店におけるタイヤ販売交換などに伴う保管場

 

その全体像が生き物の飼育や供養などであると認められる行為

生け簀による魚の保管やペット類の遺体安置所など

 

寄託契約が存在しない自己所有の物品の保管

自家用倉庫など

 

まとめ

倉庫業登録申請における基準は関連法に基づくため、まずは法律を正しく解釈し当該倉庫が条件に適っているか確認しなければなりません。また、倉庫業登録には非該当となるケースもあるため、自己判断で申請に関する判断を行うことは決して簡単ではないと考えられます

 

このようなときこそ、許認可申請の専門家に相談し、自分のケースに適した助言を受け正しい登録申請を行うことが大切です。札幌市でトップクラスの依頼件数を誇る当事務所であれば、ご相談者様の現状や展望などを丁寧にヒアリングすることから始めますので、ひとりで問題を抱え迷うことがありません。ぜひ一度、経験豊富な当事務所までお気軽にご相談ください。