運送業許可を取得するには資金の要件をクリアする必要があります。ほかの許認可でも資金に関する要件がしばしば登場しますが、その中でも運送業許可における資金の要件は軒並み厳しいものになっています。

許可取得まであと一歩というところで資金の要件に引っかかってしまい、取得できないなんてことも・・・

今回はそんな運送業許可における資金の要件について、いくつかの注意点とともに紹介します。

 

運送業許可に必要な資金とは?

運送業許可の申請の際に提出する書類の中に、様式2「事業開始に要する資金および調達方法」というものがあります。

この書類は運送事業において人件費や車両にかかる費用などを概算で算出し、運送業許可の事業開始後にどれくらいのお金が必要になるかを示す書類です。

この書類の金額よりも実際に業者が保有している自己資金の額が多い必要があります。業者の自己資金がでどれだけあるかの証明は基本的に残高証明書によって行います。

残高証明書というのは単なる通帳のコピーではなく、指定した年月日に口座にいくらの預金があるかを証明する書類です。

目安として運送業許可に必要な資金はだいたい1,500万円~2,500万円です。

 

「事業開始に要する資金および調達方法」の内訳

内訳は大きく分けて11になります。1つずつ見ていきましょう。

人件費

役員や運転手の6か月分の給与や賞与、手当、保険料等です。

油脂費

オイル台等6か月分です。

燃料費

6か月分の車両にかかる燃料費を概算で算出します。

修繕費

車両の修理代やタイヤ等にかかる費用の6か月分です。

車両費

車両を購入した場合は購入費、リースの場合はリース料12か月分です。

施設購入・使用料

土地、建物の購入費です。賃貸の場合は1年分の賃料です。

什器・備品費

運送業に開始するにあたって購入した備品にかかった費用です。

施設賦課税

自動車税及び自動車重量税の1年分、環境性能割

保険料

自動車の自賠責保険、任意保険料の1年分(緑ナンバー後は保険料が上がるため注意が必要です。また、都道府県によっては緑ナンバー後の保険料の見積書の添付を求められることもあります。

登録免許税

12万円

その他

高速道路使用費や広告費、営業所の運営にかかる水道光熱費等です。

以上を合計して事業開始に要する資金とします。

 

自己資金を証明する残高証明書

運送業許可の申請者が個人事業主の場合はその事業主の口座、法人の場合は法人名義の口座の残高証明書によって、自己資金の証明をします。残高証明書の取得についてはいくつか注意点があります。

残高証明書は発行するタイミングに注意

運送業許可の申請において残高証明書を提出する場合は発行から2週間以内のものでなければなりません。ですから、残高証明書は提出する書類の中でも最後のほうに取得すると良いでしょう。

口座に入金するタイミングに注意

口座にお金を入金してもすぐには残高証明書に入金した金額が反映されません。金融機関によって異なるため要確認ですが、通常は1~3営業日はかかります。そのため、口座への入金はスケジュールに余裕をもって行うようにしてください。

残高証明書の提出回数に注意

まず1回目は申請時に必要ですが、申請の受付から約2か月後に、運支局から2回目の残高証明書の提出を求められます。

この2回目の提出時に1回目の金額を下回っていたり、事業開始に要する資金額を下回った場合、運送業許可がおりない可能性があります。都道府県によってはその2か月間の間に一度でも1回目の金額を下回ると許可がおりないこともあります。

ですから、安全策として原則、2回目の残高証明書の提出までは口座内のお金を動かさないことです。

 

まとめ

運送業許可においては資金の要件が一番厄介だといっても過言ではありません。特に残高証明書の提出が2回あることや、緑ナンバー後の保険料の増額には注意です。もし、ご自身だけでは不安であれば、運送業許可の専門家にご相談ください。