運送業許可において必要な営業所と休憩睡眠施設について説明していきます。
営業所の要件とは
運送業許可における営業所の要件は以下の通りです。
- 原則、営業所は車庫と併設する。併設できない場合は車庫と営業所の直線距離が10㎞以内であること。
- 営業所の建物に適切な使用権限があること。
- 原則として市街化調整区域でないこと。
- 用途地域が第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域でないこと。
- その他、建築基準法、農地法、消防法などの法令に抵触しないこと。
- 机や椅子など営業所として使用するための什器備品があること。申請時に備品が揃っていなくても許可がおりるまでに揃っていれば問題ありません。
それぞれ解説していきます。
1の営業所の車庫と併設できない場合について
営業所は車庫と併設することが望ましいですが、それが難しい場合は一定の範囲内であれば離れていても問題ありません。北海道の場合ですと、車庫と営業所の直線距離が10㎞以内である必要があります。
2適切な使用権限とは
申請者が営業所の建物を使用する権限があることを証明する必要があります。営業所の建物が自己所有の場合は建物の登記簿謄本、賃貸借の場合は賃貸借契約書を提出して証明することになります。ただし、建物が賃貸借の場合に契約期間が2年未満であるときは契約書に自動更新される旨の記載が必要です。
3市街化調整区域とは
市街化調整区域とは原則、建物を新たに建てることができない区域のことです。営業所の建物の場所が市街化調整区域に指定されていると営業所として使用できません。なお、トレーラーハウスを使用することで市街化調整区域内に営業所を設置することができるケースも存在します。
しかし、基本的には市街化調整区域内に営業所を設置することはハードルが高く厳しいです。
4用途地域について
営業所を設置する場所が第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域に該当していると営業所として使用できません。(インターネットや区役所で調べることができます。)
営業所として使うために契約した物件が実は用途地域に指定されていることが後から判明するとかかった費用などが無駄になってしまいます。不動産屋が大丈夫と言っていても必ずご自分で確認することをお勧めします。
5農地法について
営業所を設置する土地が登記簿上で農地(畑・田)になっているとそのままでは営業所を設置する土地としては使用できません。この場合は農地転用という手続きが必要になります。
しかし、農地転用というのは必ずできるということではないため、極力は農地を避けたほうが良いでしょう。
6営業所の什器備品
営業所として使用する場合に現実的に必要となる机や椅子、パソコン、電話などを許可がおりるまでに準備しなければなりません。また、営業所の広さについては特に規定はありませんが、明らかに営業所として使用するには狭すぎたりすると営業所として認められない可能性があります。
休憩睡眠施設の要件とは
実は休憩睡眠施設の要件は営業所の要件とほぼ同じです。異なる点としては睡眠施設の場合は1人あたり、1.2㎡以上の広さを確保する必要があることだけです。
まとめ
営業所、休憩睡眠施設の要件は以上となります。市街化調整区域や農地法、都市計画法など注意する点が多く要件が非常に厳しいです。営業所としての候補地が見つかったとしても安易に契約せずに事前に専門家などに営業所の要件をクリアしているか確認してもらうのが安心です。