巡回指導と巡回監査とは

巡回指導

トラック協会に設置された地方貨物自動車運送適正化事業実施機関によって行われます。巡回指導が実施されるのは営業開始後、約3か月~半年後です。37個の指導項目をもとにA~Eの5段階で評価され、A判定だった運送会社に対しては2~3年のペースで行われます。

巡回指導の2~3週間前に郵便などで通知が来ます。その通知書のによって巡回指導の日時や用意しておくべきものが判明します。巡回指導の結果、何か違反があれば指導という形で改善を求められることになります。いきなり何かしらの行政処分がされるということはありません。

巡回監査

運輸支局によって行われます。巡回監査は運送会社が重大な事故を起こした場合、巡回指導でDまたはE判定だった場合、法令違反の疑いありと通報があったときや、長期間監査を実施していなかった場合に行われます。

巡回監査は巡回指導と違い、基本的に無通告で実施され、突然、営業所に監査官が来たり運輸局の窓口に呼び出されたりします。そして、何か違反事項があった場合は行政処分を受ける可能性があります。巡回指導では指導という形でしたが監査の場合は営業停止などの具体的な処分がされる可能性があるということです。

 

巡回指導のポイント

巡回指導はたとえ違反事項があったとしても指導という形で、1か月後に是正したものの写しを提出するなどすれば問題ありません。しかし、巡回指導の評価で悪質業者だと認定されると、適正化事業実施機関と運輸局から常にマークされるようになってしまいます。ですから、巡回指導だからと甘く見ないことです。

巡回指導は事前に通知で必要な帳票類が分かるため、基本的にはその帳票類を準備しておけば問題ありません。もちろん、常日頃からしっかりと業務が適正に行われていることが前提です。帳票類の中でも特にしっかりと管理する必要があるものが次の二つです。

  • 運転日報
  • 点呼記録簿

運転日報に関して

運転日報において重点的にみられるポイントは以下の通りです。

  1. 運転の時間は適切か?休憩を取らずに長時間運転していないか?
  2. 運転開始・終了時間と点呼の時間に矛盾はないか?
  3. 休憩は連続の運転時間が4時間になるたびに30分以上取っているか?
  4. 運行と運行の間に8時間以上の休息時間があるか?
  5. 残業・深夜の運転・休憩時間の管理がされているか?

特に運転時間と休憩・休息時間はしっかりとチェックされます。また、日報に記入漏れや抜けがあると指摘を受けます。

点呼簿に関して

運送業においては運行管理者(運行管理補助者)による対面点呼が義務付けられているため点呼簿は非常に重要な帳票です。そのため、巡回指導の際は必ずチェックされます。現実的に対面点呼が難しいといえども、怠ると指導の対象になります。運行管理者が点呼の3分の1以上行っていれば法令違反にはなりませんから、補助者と協力して対面点呼を必ず実施しましょう。

 

その他の帳票

運転日報や点呼簿以外で巡回指導の際にチェックされる主な帳票類は以下の通りです。詳細な説明は省きますが、どれも常日頃から適正に管理することが大切です。

  • 業務関係(賃金台帳、給与規定、就業規則、保険加入台帳、事業報告書等)
  • 運行管理関係(運行管理規定、運行計画、常務割当表、運行管理者専任の控え、健康診断受診結果とその記録簿、出勤簿、事故記録簿等)
  • 車両管理関係(点検整備記録簿の写し、日常点検簿、日常点検表、整備管理者選任届控え、車両台帳等)
  • 経理関係(総勘定元帳、経費明細書、現金出納表、固定資産台帳、賃金台帳等)

 

巡回監査のポイント

基本的には巡回監査でチェックされることは巡回指導と変わりません。しかし、巡回指導と違い、無通知で突然行われ、違反があると行政処分を受ける可能性があります。ですから、繰り返しになりますが、日ごろから法令を遵守して適正に業務を行うことがより重要となります。

 

まとめ

ここまでご覧になって、もしうちに巡回指導や巡回監査が来たらどうしようと不安に思われる運送事業者様もいらっしゃると思います。どちらも常日頃から法令を遵守し適正に業務を行うことが大切です。たとえしっかりと業務を行っていたとしても、いざ指導や監査が入る際には不安になることでしょう。

そういった場合は事前に専門家に相談して不安を少しでも解消しておくのも良いかと思います。何かございましたらお気軽にご相談ください。