運送業許可申請から営業開始までの流れを大まかに解説します。

運送業許可申請までの流れ

運送業許可申請をするには、許可要件を満たしたうえで申請書類を作成し、運輸支局に提出しなければなりません。加えて書類作成と同時、もしくは事前に準備しておくことがいくつかあります。以下の通りです。

  1. おおよそ1,500万円~2,500万円の資金の確保(財産的要件クリアのため)
  2. 最低5台以上の運送業に使用できる車両の確保、車両の台数以上最低5人以上の運転手の確保(車両は自己所有でもリースでも可)
  3. 運行管理者、整備管理者をそれぞれ1人以上確保(運行管理者と整備管理者は兼任可能。運転手と運行管理者の兼任は不可)
  4. 運送業に使用する営業所・事務所、休憩・睡眠施設、車庫の確保(それぞれ使用権限があれば自己所有でも賃貸でも可)
  5. 添付書類の作成・収集(法人と個人で異なります。)

必要な添付書類とは

法人と個人事業主共通で必要な添付書類

  • 運行管理者資格証
  • 整備管理者の整備士3級以上の資格証
  • 営業所、休憩睡眠施設の使用権限が分かる登記簿謄本または賃貸借契約書
  • 営業所、休憩睡眠施設の位置がわかる図面や面積がわかるものと写真
  • 車庫の使用権原が分かる登記簿謄本または賃貸借契約書
  • 車庫の位置がわかる図面や面積がわかるものと写真
  • 運送業に使用する車両の車検証及び使用権限がわかる売買契約書、リーズ契約書等
  • 車庫の出入り口や幅員の寸法が記載された図面(北海道では幅員証明書がいらず、寸法を図面に記載すれば良い)
  • 残高証明書

法人の場合必要な書類

  • 履歴事項全部証明書の原本及び定款
  • 役員全員の履歴書

個人事業主の場合必要な書類

  • 戸籍抄本及び住民票の原本と資産記録
  • 事業主の履歴書

 

申請受付

運行管理者等の要件を満たして申請書類を作成し、添付書類がそろったら、運輸支局に書類を提出します。無事受付となれば、申請書類を運輸支局で審査後、運輸局に回されます。審査にかかる期間はだいたい4~5カ月です。この期間、申請者はただ待っていれば良いわけではありません。申請受付後の審査期間中もやることがいくつかあります。

 

法令試験

運輸支局で申請受付後の奇数月に法令試験の受験をします。法人の場合は常勤の役員1人、個人事業主の場合は事業主が受験します。法令試験に一度の申請受付で2回まで受験可能です。2回とも不合格だった場合は申請は取消となります。

 

2回目の残高証明書の提出

申請時にも残高証明書の提出は必要ですが、申請受付後約2か月ほど経過すると運輸支局から2回目の残高証明書の提出を求められます。この2回目の残高証明書の提出時に必要な資金を下回っていたりすると許可を取得できませんので、ご注意ください。

 

社会保険・労働保険への加入

許可取得後に提出する書類の添付書類として、社会保険や労働保険に加入した証拠書類を提出する必要があります。許可取得後スムーズに営業を開始したい場合はあらかじめ加入を済ませておきましょう。

 

許可取得通知と登録免許税納付

法令試験に無事合格し、運輸局での審査が完了すると許可取得の通知が届きます。その後交付式を経ていよいよ運送業許可取得となります。許可取得から1カ月以内に登録免許税12万円を納付します。

 

許可取得後から営業開始まで

運送業許可を取得してもすぐに営業開始とはなりません。営業開始前にいくつか書類の提出などが必要です。

運行管理者と整備管理者の選任届

運行管理者の資格証の写しや整備管理者の資格を証明する書類などを運輸支局に提出します。

運輸開始前確認報告書類

次のものを記載して提出します。

  • 選任した運行管理者及び整備管理者の氏名
  • 雇用した運転手の氏名
  • 加入義務のある従業員の社会保険労働保険加入状況
  • 運送業に使用する車両の概要

 緑ナンバー取得

上記の確認報告が完了すると事業用自動車連絡書という書類が発行されます。この連絡書とともに必要書類を用意することで緑ナンバーを車両に取り付けることができます。緑ナンバーに変更後は自動車の保険料が変わることに注意です。車検証も新しくなります。

運輸開始届と運賃料金設定届の提出

新しい車検証と緑ナンバー対応の自動車保険の保険証券の写しとともに運輸開始届を提出します。これと同時に運賃料金設定届も提出しましょう。運賃料金設定届は自社で定めた運賃表を添付して提出しましょう。

これで晴れて営業開始となります。

 

まとめ

いかかでしたでしょうか。運送業許可は申請書類の作成収集はもちろん必要ですが、申請後も法令試験を受験したり、提出する書類がいくつかあります。審査自体も4~5カ月もかかるため営業開始までかなりの長丁場となります。運送業許可は他の許認可と比較しても資金の要件などが厳しく難易度が高いものとなっています。

そのため専門家に依頼する方がほとんどです。運送業許可の取得に興味のある方は一度ご相談いただければと思います。

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